演じ手がいなくなり、チラシや番付などに残る題名だけを頼りに落語作家の小佐田定雄が一席の落語として台本化し、毎回、桂かい枝が初演で挑む企画「発掘カイシ!」。2017年5月に初めて開催し、今年2月で10回目を迎えたこの会でこれまでに10作品が生まれた。その中から選りすぐりの4作品を選び、かい枝ら4名の落語家が披露する「特別総集編」が8月17日に開催される。
2015年に亡くなった人間国宝の桂米朝は演じ手がいなくなり、埋もれてしまった落語を「古墳落語」と呼んだ。「タイトルをイメージし、当時の時代背景などを考慮した上で復活させる。埋もれたものを発掘することから『発掘カイシ!』というタイトルになりました」とかい枝。この会は芸能史研究家の前田憲司が所蔵する膨大で貴重な資料の中から、毎回前田が5つの題を選び、その中から観客の拍手で次回に演じられるネタのタイトルを決める形で回を重ねてきた。前田は「元々は、演題はなかったはず。寄席という形の中で(ネタを)区別するためにタイトルが後からできた。読み方すらわからないのもあるが、こうやって一つのネタにしていただいた」と感謝を述べ、毎回、できあがった噺を初めて聴き、「日の目を見ることがなかったものがこういう形で今の落語家さんが演じてくくれるのは嬉しい」と喜ぶ。
これまでに復活させた噺は小佐田が、かい枝用に「オーダーメイド」で作ってきたため、今回は「すべて、その人の色をプラスして書き直した改訂版にしました」と小佐田。「電車掌」のみかい枝が演じ、大阪・船場の恋物語「屁草最中」を笑福亭喬介が、文楽の人形遣いが主人公の「桐竹七兵衛」を林家染左、芝居噺の「家内芝居」を桂吉弥が演じるバラエティに富んだラインナップとなっている。
「落語は受け継がれてきたもので、いろんな方がいろんなアイデアを入れ、よりおもしろくなるもの。それぞれの演者さんが工夫してどんどん噺を盛り上げていっていただいて、いずれ気づかないうちに『古典落語』になってもおもしろいなと思います」(かい枝)
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「発掘カイシ!特別総集編」
8/17(水) 開演=18:30
会場=天満天神繁昌亭
料金=前3000 当3500
出演=〈発掘トーク〉小佐田定雄・前田憲司/喬介「屁草最中」
/染左「桐竹七兵衛」/かい枝「電車掌」/吉弥「家内芝居」(出演順)
問い合わせ=三栄企画:06-6631-0659