2022年8月17日水曜日

「発掘カイシ!特別総集編」(8月17日)

演じ手がいなくなり、チラシや番付などに残る題名だけを頼りに落語作家の小佐田定雄が一席の落語として台本化し、毎回、桂かい枝が初演で挑む企画「発掘カイシ!」。20175月に初めて開催し、今年2月で10回目を迎えたこの会でこれまでに10作品が生まれた。その中から選りすぐりの4作品を選び、かい枝ら4名の落語家が披露する「特別総集編」が817日に開催される。


2015年に亡くなった人間国宝の桂米朝は演じ手がいなくなり、埋もれてしまった落語を「古墳落語」と呼んだ。「タイトルをイメージし、当時の時代背景などを考慮した上で復活させる。埋もれたものを発掘することから『発掘カイシ!』というタイトルになりました」とかい枝。この会は芸能史研究家の前田憲司が所蔵する膨大で貴重な資料の中から、毎回前田が5つの題を選び、その中から観客の拍手で次回に演じられるネタのタイトルを決める形で回を重ねてきた。前田は「元々は、演題はなかったはず。寄席という形の中で(ネタを)区別するためにタイトルが後からできた。読み方すらわからないのもあるが、こうやって一つのネタにしていただいた」と感謝を述べ、毎回、できあがった噺を初めて聴き、「日の目を見ることがなかったものがこういう形で今の落語家さんが演じてくくれるのは嬉しい」と喜ぶ。

これまでに復活させた噺は小佐田が、かい枝用に「オーダーメイド」で作ってきたため、今回は「すべて、その人の色をプラスして書き直した改訂版にしました」と小佐田。「電車掌」のみかい枝が演じ、大阪・船場の恋物語「屁草最中」を笑福亭喬介が、文楽の人形遣いが主人公の「桐竹七兵衛」を林家染左、芝居噺の「家内芝居」を桂吉弥が演じるバラエティに富んだラインナップとなっている。

「落語は受け継がれてきたもので、いろんな方がいろんなアイデアを入れ、よりおもしろくなるもの。それぞれの演者さんが工夫してどんどん噺を盛り上げていっていただいて、いずれ気づかないうちに『古典落語』になってもおもしろいなと思います」(かい枝)

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「発掘カイシ!特別総集編」

8/17()  開演=18:30

会場=天満天神繁昌亭

料金=前3000 当3500 

出演=〈発掘トーク〉小佐田定雄・前田憲司/喬介「屁草最中」

  /染左「桐竹七兵衛」/かい枝「電車掌」/吉弥「家内芝居」(出演順)

問い合わせ=三栄企画:06-6631-0659 

2022年8月15日月曜日

「なみはや講談フェスティバル」開催

三代目旭堂南陵の直弟子を中心に2018年に発足した「なみはや講談協会」が神戸新開地・喜楽館を舞台に8月と9月に5日間で計10公演を行う「なみはや講談フェスティバル」を開催します。

「なみはや講談フェスティバル」は協会発足以来、最大の企画として昨年12月に初開催し、今回が2回目。前回は講談中心の公演でしたが、今回は毎回ベテランと若手計2名の上方の落語家も出演する講談と落語の競演会となります。会見で旭堂南鱗会長は「去年は講談だけで、60席やったんですが、誰一人(ネタが)かぶらなかったんです。うちの協会の底力を見れたなと思いました。今回は噺家さんに負けないように気合いを入れて頑張っていきたいと思っています!」と意気込みを語りました。

 「なみはや講談協会」には三代目旭堂南陵の直弟子の南鱗、南北、南華、南海、南湖の5名と孫弟子の鱗林、一海の2名の計7名が所属。フェティバルでは前座の一海をのぞく6名が日替わりの順で出演し、交代でトリをつとめます。815日と16日の夜席は「怪談特集」を企画。また、各公演ともトリは事前にネタ出しをしています。

 

前列左から南海、南鱗、南華

後列左から制作協力の笑福亭たま、南湖、一海

(南北、鱗林は会見に欠席)


 南鱗がネタ出しをしているのは「幸助餅」(9/3・朝席)と「善悪二筋道」(9/11・夜席)。「『善悪二筋道』はうちの師匠のネタで一番好きなネタ。入ってからやりたかったのですが、20年できませんでした。なんぼやっても師匠の足元にも及ばないなと。20年目に師匠に『やりたいんです』と話し、やらしてもらいました。『幸助餅』は林家の『幸助餅』とは全然違います。(林家)染丸兄さんのも素晴らしいですが、僕も負けてないと思っています。聞き比べていただけたら。講談のよさ、落語のよさ、互いのよさを聞いていただけたらなと思っています」(南鱗)

 怪談を得意とする南華は「真景累ヶ淵 豊志賀の死」(8/15・夜席)と「牡丹灯籠」(8/16・夜席)。「どちらも三遊亭圓朝作のもので東京ネタです。『牡丹灯籠』は神田陽子先生が(二代目)神田山陽先生につけていただいたネタです。大阪に女性が主役になるような怪談がなかったので、つけていただきたいとお願いしたものです。ぜひとも見ていただきたい、聞いていただきたいです」(南華)

 南海はトリで「大谷刑部の最期」(8/16・朝席)と「石田光成の最期」(9/4・夜席)。また、816日夜席の「怪談特集」では「吉備津の釜」をネタ出ししています。「トリは両方(『最期』で)明るい話で締めようと()。二つとも関ケ原の西軍、大坂方は負けはしましたが、心意気を見せる話になっています。『吉備津の釜』は上田秋成の小説です。私の故郷、兵庫の加古川、高砂が舞台で親しみもあって出しました」(南海)

 南湖は815日の中入り後に「真景累ヶ淵 宗悦殺し」、816日の夜席の3つ目で「応挙の幽霊画」、911日の朝席のトリで「赤垣源蔵徳利の別れ」を語ります。「先輩方はそれぞれお好きな演目でして。私も『赤垣源蔵徳利の別れ』は好きな話です。「赤穂義士」も入っていた方がいいんじゃないかと思い、大好きな話なので入れさせていただきました。たぶん、この日に雪が降るんじゃないかな()。圓朝は当時の批評で『講談師のようだ』と書かれていたりする。改めて長編の作品を読んでいると落語という範疇より講談に近いかもという思いがありまして。少しでも圓朝の気持ちで読めたらなと思います」(南湖)

 若手の出演機会が少ない中、前回に続き、今回も全席前座で出演する南海の弟子の一海は「とにかく元気につとめようと思っています。今回もネタは全部変えて挑ませていただこうと思っています。『怪談特集』の日も私だけ元気な明るい、まったくお化けが出ない話を申し上げます()」(一海)

落語家同様、講談師もネタ出しをしていない時はほかの人のネタとかぶらないネタを演じます。南海は「落語家の方と半々(の出演)になりますと、『講談席』と言わず、『寄席』のイメージになります。寄席のスタイルの中で、落語家の方が前の席でどっと受けた後の講談でどう立ち向かうのか、ある意味経験を積ましていただく場になろうかと思います。どれだけネタ数を持っているかというところも試されるのではないだろうかと。落語家さんとの『寄席』という場所における勝負というのを楽しみにしていただいてもいいかと思います」と語りました。

前回に続き、今回も有料配信が行われるほか、YouTubeの「旭堂南湖チャンネル」で関連情報を無料公開しています。

https://www.youtube.com/channel/UChSHW5Vpem-HYOB22wJNARw

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「なみはや講談フェスティバル」

8/15()16()
9/3()4()11()

開演=各日とも10:00(朝席)/18:30(夜席)

会場=神戸新開地・喜楽館(各線「新開地」)

料金=各回-2500 当3000(全指)

配信料金=12500peatix・笑福亭たま落語会)

     全10回視聴通し券

    https://peatix.com/event/3256837?lang=ja

チケット問い合わせ=神戸新開地・喜楽館:078-335-7088

http://namihayakodan.com/


2022年8月9日火曜日

「彦八まつり」開催見送りのお知らせ

 感染の増加や諸般の事情により、今年開催予定だった「彦八まつり」の開催は見送りとなりました。https://kamigatarakugo.jp/information/hikohachi/16609/

 

2022年8月8日月曜日

「桂文珍独演会」(8/8)

毎年88日に大阪のなんばグランド花月で開催される夏の風物詩「吉例88桂文珍独演会」が今年も開かれる。今回で40回の節目。会見で文珍は「40年もようやってこられたなぁという思いとともに、あと何年できるやろという思いが交錯しています。あっという間の40年でした」としみじみ語った。


この独演会には、これまでにそうそうたる大御所がゲストで出演してきた。文珍は「(六代目笑福亭)松鶴師匠だけは出ていただけなかったですけど、うちの師匠(五代目桂文枝)に出ていただいたり、(三代目桂)米朝師匠や、(三代目桂)春団治師匠にもお出ましいただきました。夢路いとし・喜味こいし師匠、ケーシー高峰さんたちにも来ていただきました。米朝師匠に出ていただいた時は『地獄八景(亡者戯)』を8時間かけてお稽古していただきました。さまざまな師匠のおかげで今日(こんにち)があります」と感謝の思いを口にした。 

文珍は今回、デジタル難民を題材にした自作の「デジナン」と古典落語の大ネタ「らくだ」の二席を演じる。「らくだ」は40代で演じ、この独演会では25年ぶりの口演。70代で演じる「らくだ」については「年齢とともに『間』がとれるようになるんですね。70代は70代なりの間ができる。年齢によって噺の深みも出ます。年を楽しみ、ネタを楽しむ。そんな『らくだ』ができたら」と語った。

今回は真打に昇進し、人気番組「笑点」の抜擢レギュラーとして勢いに乗る東京落語の桂宮治がゲストで出演。文珍は「若い時から『この子、いいな』と思っていたんですけど、売れてきはりまして。これからもより注目される後輩と思います」と太鼓判を押した。

 


※チケット完売の可能性があります。ご確認ください。

 写真は提供写真です。

「桂文珍独演会」

8/8() 開演=18:00

料金=4500(全指)

会場=なんばグランド花月(各線「難波」)

出演=文珍「デジナン」「らくだ」 ゲスト=桂宮治

問い合わせ=FANYチケット:0570-550-100

なんばグランド花月:06-6641-0888

2022年8月3日水曜日

8月号のお知らせ

「よせぴっ」8月号(192)727日に発送しました。人気のリレーエッセイ「笑うてABC」にはアナウンサーの三代澤康司さんにご登場いただいています。今回も紙面の関係で「じゅずつなぎ」はお休みさせていただきました。

8月号紙面はオフィシャルブログからダウンロードできます。ご活用ください。 

紙面に掲載していましても、会が中止や延期になる可能性があります。ご確認の上、お運びください。中止や延期情報は随時、オフィシャルブログにもアップしていきますので、こちらもご確認ください。 

暑さの影響で、8月号紙面に一部、色むらのある場合があります。ご了承ください。

読み物では林家たい平さんと林家菊丸さんが二夜連続で行う「たい平・菊丸二人会」、全国ツアーをスタートさせた「おもしろハッピー落語会」、上方文化伝統芸能ユニット「霜乃会」の本公演、毎年88日に開催される「桂文珍独演会」、桂かい枝さんと落語作家の小佐田定雄さん、芸能史研究家の前田憲司さんがタッグを組んで行ってきた「発掘カイシ!」の総集編、なみはや講談協会のメンバーが神戸新開地・喜楽館で全10公演を行う「なみはや講談フェスティバル」、神戸新開地・喜楽館前に設置された「MELLIKEN(メリケン)」像と81日からスタートした「水木しげる生誕100周年記念ウィーク」ほかを掲載しています。

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おもしろハッピー落語会

(8/1)

「NHK新人落語大賞」受賞者の桂雀太さん、桂華紋さん、桂二葉さんと桂九ノ一さん、桂源太さんの5人による落語会「おもしろハッピー落語会」が81日の天満天神繁昌亭公演を皮切りに全国ツアーをスタートさせました。メンバーが欠席の場合はほかの落語家がサポートメンバーとして参加し、「おもしろラッキー落語会」として開催されます。

 


左から源太、二葉、雀太、華紋(九ノ一は欠席)

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「たい平・菊丸二人会」

(8/2神戸新開地・喜楽館、8/3大阪・天満天神繁昌亭)

2017年から天満天神繁昌亭で、2020年からは神戸新開地・喜楽館で二人会がスタート。「1+1が3にも4にもなるような化学反応を起こせる会にしたい」(菊丸)

 


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「霜乃会本公演」

(8/5,6国立文楽劇場小ホール)

落語、講談、浪曲、文楽、能楽など7種の芸能、文化の若手・中堅メンバーで結成する上方文化芸能ユニット「霜乃会」の年に一度の本公演。今回は浪曲の京山幸太さんをナビゲーターに、それぞれが女性をテーマに本芸を披露します。


 前列左から桂紋四郎、松井宗豊、林本大、旭堂南龍 

後列左から朝原広基、竹本碩太夫、今村哲朗、京山幸太

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「桂文珍独演会」

(8/8、大阪・なんばグランド花月)

桂文珍さんが毎年88日に大阪のなんばグランド花月で開催している「吉例88桂文珍独演会」が今年、40回の節目を迎えます。

 


(提供写真)

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「発掘カイシ!特別総集編」

(8/17大阪・天満天神繁昌亭)

演じ手がいなくなり、チラシや番付などに残る題名だけを頼りに落語作家の小佐田定雄さんが台本化し、桂かい枝さんが初演で披露する「発掘カイシ!」。2017年以降、この会で生まれた10作品から4作品をかい枝さんら4名の落語家が披露します。

 


左から小佐田定雄、桂かい枝、前田憲司

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「なみはや講談フェスティバル」

(8/15~、神戸新開地・喜楽館)

 なみはや講談協会が神戸新開地・喜楽館の朝席と夜席で「なみはや講談フェスティバル」を開催します。8月と9月の5日間で計10公演を行い、今回は毎回、落語家2名も出演します。全公演、配信もあります。

 


前列左から旭堂南海、旭堂南鱗、旭堂南華

後列左から笑福亭たま、旭堂南湖、旭堂一海

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後日、随時、会見の模様をアップしていきます。

※提供記載のない写真は日高美恵が撮影しています。

各写真の無断転載はご遠慮ください。