落語と文学(朗読)、そして日本舞踊を「和」の音楽で紡ぐ、新たなコラボレーション企画「RENBO/恋慕~いつの世も人は人を想う~」が4月15日、16日に大阪のABCホールで開催される。
桂春蝶が落語、日本舞踊の山村若静紀が上方舞、朝日放送(ABC)の桂紗綾アナウンサーが朗読を行い、若手の実力派三味線奏者の菊央雄司が三味線だけでなく胡弓や琴なども奏して、舞や朗読に彩りを加える。劇団「リリパットアーミーⅡ」の座長で、多彩な活躍を見せるわかぎゑふが演出と上演台本を担当する。
左から菊央雄司,山村若静紀、桂春蝶、わかぎゑふ、桂紗綾
この企画は、元々、桂春蝶とABCの桂紗綾アナウンサーが回を重ねている「落語と文学の会」にヒントを得て、2021年10月31日に朝日放送の正面玄関ロビーの特設ステージで、上方舞の「ゆき」とシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」(朗読)、古典落語の「たちぎれ」のコラボ公演を開催。好評を受けて、同じメンバーでの再演が決まった。今回はテーマの違う2公演を追加して3公演を開催。「恋慕=人が人を想い慕うことがどれほど麗しく、美しいか」を全公演、全演目の柱としながら、異なる演目の組み合わせで色合いの違う公演を楽しめる形となっている。
4月15日の昼公演(12時開演)のテーマは「人を人とみる『平等』」で、上方舞「こすのと」、朗読の「星の王子さま」、そして落語は「紺屋高尾」。15日の夜公演(17時開演)は「人を愛する『自由』」をテーマに上方舞の「ゆき」、朗読の「ロミオとジュリエット」、落語は「たちぎれ」。わかぎは「この公演は3つの公演の中の核」と語る。16日のテーマは「人を待つ『博愛』」。O・ヘンリーの「賢者の贈り物」の朗読の後に、落語の「芝浜」、最後は上方舞の「萬歳」。「『博愛』、これが一番難しい。愛し合いながら、すれ違うことは世の中にいっぱいある。博愛はすごいテーマです」(わかぎ)。
「落語と文学の会」同様、この会でも朗読の後に落語を口演する流れとなる。春蝶は「紗綾さんは素晴らしい助走を落語の前につけてくださる。やりやすい状況を作ってくれる。安心して(後に)上がれます」と絶賛。また、この会ではわかぎゑふの演出が入り、朗読には演技指導も入る。桂紗綾アナウンサーも「落語と文学の会」では着物で朗読を行っているが、今回はドレスを着用。また、公演当日は朗読した録音を元に、新しく作った音楽に合わせて朗読が行われる。一昨年の公演で初めて演出が入ったという若静紀は「演出が入ることでわかりやすく見ていただける。こんな風にするとこう見える、アピールできると、ものすごく大きな発見でした。初めて見る方にも舞踊って意外と見やすいな、難しくないなと楽しめると思います」と語った。
2020年に、コロナ禍で集まって稽古をすることが難しい状況だったにもかかわらず、集まった当日に新作狂言の上演ができた経験から、わかぎは「古典すごいなと思ってて。人の声の凄さとか、肉体の凄さとか、新作をやっていける情熱とか、そういうものが古典の人たちのふだんのベースの中にあるんやなと改めてその日に確認しました。“すぐに何かできる凄さ”をつないでいけたら、もっとおもしろいなと。新しいプロデュースをしたら、この人たちの持っている元々のベースを広げていけるんじゃないか」と思い、この新しい試みを受けたという。また、この会は「基本は古典で、セレクトショップのような会」と位置づけ、「いろんなことが同時に知れて、こうやってつながっていることがわかる。ここへ来れば、いろんな文化が横につながっていると思ってもらえると思います」と語った。
「RENBO/恋慕~いつの世も人は人を想う~」
4/15(土) 開演=12:00/17:00
4/16(日) 開演=12:00
会場=ABCホール(阪神・JR「福島」,JR「新福島」、京阪「中之島」)
https://www.asahi.co.jp/abchall/map/
料金=4800(全指)
※プレミアシート、通し券は完売
http://abc-ticket.pia.jp/event.do?eventCd=2245200
左から菊央雄司,山村若静紀、桂春蝶、わかぎゑふ、桂紗綾