2015年12月18日金曜日

「二十周年記念公演 よね吉独演会」

199512月に故・桂吉朝に入門し、今年、芸歴20周年を
迎えた桂よね吉が、12月の京都を皮切りに福岡、東京、
大阪の4都市で記念の独演会を開催する。
京都公演の開催を前に、よね吉が勉強会を行い、
ホームとする京都・新京極の誓願寺で20周年記念公演への
意気込みを熱く語った。





―「20周年」というのは落語家にとってはあまりにも
   短い年月で、今からやっとしっかりした落語が
   スタートできるなという感じの気持ちでいます。
   やっと噺家として、いろんなものをお客さま方に
   お見せできるのかな、聞いていただけるのかなという
   思いで、この20周年記念の落語会を組んでおります。
     4公演を通して、20周年を飾れたらいいなというのが
   私の思いでございます。

師匠・吉朝がこの世を去って10年。そして今年の319日には
大師匠の桂米朝もこの世を旅立った。

―節目の年が重なるというのは何となく、自分としては
 「もう、一人でやらんとあけへんで」と言われている
  気がします。師匠とは10年くらいしか一緒にいることが
  できませんでしたけど、そのあと10年、自分でいろいろ
  やってきまして、ずいぶん師匠に甘えていたんだなと
  思いました。もちろん、ほかの師匠方はいろいろ目を
  かけてくださいましたけど、やはり(自分の)師匠の
  ように保護してくださるかというとそうではないので。
  すごく身に染みて、頑張らないかんなと思って
  やりだしたんです。そういう意味もあって、我々弟子が
    7人いておりますけど、みんないろいろ変わってきて。
  僕も、その間にドラマの「ちりとてちん」に出して
  いただいたり、NHKの大賞取らしてもらったり。
  そういうのがきっかけとなって自分の中で考え方が
  変わったのかなと思いました。

定期的に独演会を行っている大阪、京都、東京に加え、
今回は福岡の嘉穂劇場でも独演会を開く。
嘉穂劇場はよね吉が福岡での大学生時代にアルバイトを
していた思い出の劇場だ。
今回、よね吉は福岡を除く3都市の独演会で江戸時代中期の
歌舞伎役者を描いた名作「中村仲蔵」に挑む。
福岡公演では芝居のシーンが出てくる「蛸芝居」と
人情噺の「子別れ」を演じる。

―「中村仲蔵」は実在の役者さんで、いわゆる大部屋から
  トップまで上り詰めた方です。創意工夫、そして奥さんの
  陰の支えがあって出世していく話でございます。
  我々芸人にとって非常にうらやましい話なんですね(笑)。
「中村仲蔵」は東京の話でございまして、関西でやる人は
  ほとんどいておりませんでした。露の五郎兵衛師匠が
  東京の林家彦六師匠からお稽古していただき、(弟子の)
  露の新治師匠がやってらっしゃいましたのでお願いいたしました。
  上方でございますので、お芝居のシーンにはハメモノを
  存分に入れてまして、自分なりの仲蔵ができたと思っています。

各公演にはゲストを招いている。京都と東京公演には南座の
顔見世興行に出演中の歌舞伎役者・五代目中村時蔵、
福岡公演には笑福亭鶴瓶、大阪公演には懇意にしている
狂言師の茂山正邦、茂山宗彦が登場。
各公演ともよね吉とゲストのトークが行なわれる。

―東京で独演会をやらせていただいている時に、
  時蔵さんの奥さんや息子さんの梅枝さん、萬太郎さんが
  見に来てくださり、時蔵さんも落語会に足を運んで
  くださるようになりました。時蔵さんの楽屋に伺うたびに
  お芝居のことをすごくていねいに教えてくださいます。
  で、今回、ゲストでお願いしましたら「いいよ」ということで。
  奥さんにうかがうと、時蔵さんは6歳の時にお父さん
 (四代目)を亡くしているということで、師匠を失った我々と
 よく似た境遇です。襲名されるまで、並大抵のことや
 なかったと思うんですよ。本筋を守るのか、革新を求めるのかー。
 それぞれの道で違うと思うんですが、そういうのは普段
 お話しされないと思うんです。そこらへんもお聞きできたら
 おもしろいんじゃないかと思います。「中村仲蔵」を
 演りますが、時蔵さんは「思ったことを思った通り、
 ぶれずにやった方がいい」と言うてくれはりました。

歌舞伎が好きで芝居噺を得意とし、最近は東京の人情噺にも
積極的に取り組んでいるよね吉。
入門20年を迎え、今後は何を目指していくのか?

20年たってわかってきたのは、それぞれがいろんな思いを
  持って落語会に来てくださっているんだなと。
  だから、この落語で同じ思いを持って帰らなくていいんだと
  思います。余白をどれだけ与えるかが僕たちの仕事だなと。
  同じセリフ一言についてもその人がどうとらえて持って
  帰るかは、その人それぞれだと思います。いろんな人が
  自分の思いを重ねられるような落語ができたらいいなと
  思います。それが落語の面白いとことなんじゃないかなと。
  お芝居も好きですし、もちろん滑稽噺や短いネタも
  やらないというわけではないですけど、「しっかりした噺、
  どっしりした噺を聞きたいんやったら、よね吉ちゃう?」って
  言われるようになればいいんじゃないかと思っています。
   20周年を機にそういう部分をやりたいなと思っています。







「二十周年記念公演 よね吉独演会」
12/19()     開演=14:00
会場=京都府立文化芸術会館(市バス「府立医大病院前」)
料金=前3500 当4000(全指) 
問い合わせ=米朝事務所:0663658281

<福岡公演>
2016/1/21()   開演=14:00
会場=嘉穂劇場(福岡県飯塚市)
料金=4000(全指)  
問い合わせ=FKゼネラルイベント:0948224645

<東京公演>
2016/3/27()   開演=18:00
会場=日本橋公会堂(日本橋劇場)
料金=前3500 当4000(全指)  
問い合わせ=米朝事務所:0663658281

<大阪公演>
2016/4/10()   開演=18:00
会場=天満天神繁昌亭
料金=前‐1F3300 22700 当‐1F3800 23000(全指)  
問い合わせ=米朝事務所:0663658281