「流される」をテーマに、能・落語・文楽の三種の古典芸能が競演する公演が山本能楽堂で開かれる。
これは昨年6月に同じく山本能楽堂で開催された文楽と落語の競演「山本能楽堂DEおはんちょう」が好評だったのを受けての第2弾。前回出演した文楽の太夫、豊竹英太夫と桂南光に加え、今回は能師の山本章弘が参加する。今年4月に豊竹呂太夫を六代目として襲名する豊竹英太夫にとってはこの公演が「英太夫」としては最後の舞台となる。
今回は英太夫が今年2月に東京の国立劇場で演じた「平家女護島~鬼界が島の段」を素浄瑠璃で語ることから、落語作家の小佐田定雄が「流される」をテーマにすることを発案。この演目は平清盛への謀反で鬼界ケ島に流罪となった俊寛の物語で、英太夫の文楽本公演でも最後の演目だ。英太夫は「能楽堂は神聖なところで、気持ちが改まる感じです。一番最後を神聖な聖域で語らせてもらうのが嬉しいです」と語った。
南光は藤原時平の讒言で大宰府に流された菅原道真をキーワードにした古典落語の「質屋蔵」を演じる。「それぞれ違うジャンルの芸能を見てもらったら面白いんじゃないかと思います。今は3つですが、今後、ほかのジャンルの人が入ってきて、広がっていけたら」と期待をふくらませる。そして、退治され、流された、頭は猿、尾は蛇、手足は虎の姿をした怪獣・鵺(ぬえ)が主人公の能の仕舞「鵺」を山本章弘が披露する。「芸能はまちづくりの一つ」と語る山本は「能はこうですと知っていただけるのはありがたいチャンスです」と意気込みを見せた。
当日、小佐田定雄が案内人を務め、前口上に出るほか、終演後には出演者によるアフタートークも予定されている。前売りは完売。
「流されて」
3/26(日) 開演=14:00
料金=前3000 当4000
※前売りは完売、当日券は若干枚数を販売予定。
13時より整理番号を発行。
http://www.noh-theater.com/
会場=山本能楽堂 (地下鉄「谷町四丁目」④)
出演=〈前口上〉小佐田定雄
〈仕舞〉「鵺」 山本章弘
〈落語〉「質屋蔵」 桂南光
〈義太夫〉「平家女護島~鬼界が島の段」
浄瑠璃=豊竹英太夫
三味線=鶴澤清介
〈アフタートーク〉
℡ 山本能楽堂:06-6943-9454
左から桂南光、豊竹英太夫、山本章弘
(2017年3月1日、山本能楽堂)
文・写真=日高美恵