桂ざこば門下の桂塩鯛が恒例の大阪・サンケイホール
ブリーゼでの独演会を10月に開催する。
塩鯛のサンケイホールブリーゼでの独演会は前名の
都丸時代を含め、今回で7回目。
今年2月に還暦を迎え、南座からスタートした「還暦記念」の
公演はこの独演会でフィナーレを迎える。
今回、塩鯛が演じるのは桂三枝(現六代文枝)作の
「妻の旅行」と旅の大ネタ「三十石夢の通い路」、
そして「一人酒盛」の三席。桂三枝作の創作落語は「鯛」
「宿題」「読書の時間」に続き、4作目となる。
-「妻の旅行」は10年くらい前に勧められていたんですが、
定年退職をした男性の噺なので、今回60歳になったということで
文枝さんにお願いしました。今回のメインと言いますか、
「三十石」はかなり前からやっている噺です。
スケッチ落語で自由奔放にしゃべれる。普通は伏見の浜の場面から
噺を始めることが多いですが、その前の部分の京の町の説明を
するところからさしていただきます。
そして、「自分自身の売りって何かいな」となると、
お酒の噺かなとずっと思っているので、「一人酒盛」を。
このネタは大きな会場ではあまりやったことがないので、
ひとつ挑戦してみようかなということで、最後はお酒の噺で
締めさせていただこうと思います。
今年の3月19日に大師匠の桂米朝がこの世を旅立った。
多くのネタを後世に残し、たくさんの弟子を育てるなど
その功績は計り知れない。
塩鯛も米朝からの教えが心に残っている。
-自分が新しいものに目を向けるっていうかね。
米朝師匠がよくおっしゃってたのは「新落語や」と。
古典落語で、昔からある落語をこの人がするとなんか
新しく聞こえる。同じようにしゃべってたって、
その人の方が新しく聞こえる。古臭く聞こえない。
そういうことをおっしゃってたのがすごく印象に残っています。
昔、私が勉強会で「牛ほめ」という噺をやって、
米朝師匠が横で聞いてはって、教えてもらった通りに
やったつもりなんですけど、「今日のはなかなか新しかった」と
言うてくれはったんです。
「お客さんに伝わるもんや。それこそが古典落語が
生き残っていく1つの過程にある」と。
もちろん、噺の中の工夫もいるんですけどね。
そういう気持ちでまず、落語に取り組むというのと、
世の中をよく見ないといけないというか、
「なぞる」というのがよくない。
教えてもらった通りにしゃべるのが「なぞる」と
いうことなんですけど。しゃべってる時にお客さんの反応を見て、
なるほどこんな風にしゃべった方がわかりやすいんやなとか。
そこから、自分が出て、何か新しいものを提供できれば、
ちょっとしたことで噺が新しくなる。
我々は、それを工夫しています。大事な作業やと思います。
塩鯛はここ数年、この独演会で人情噺をかけてきたが、
今回の3席は笑いをメインにしたラインアップになっている。
-本来はこちらでしょうと(笑)。またいずれ人情味かかった話を
すると思いますが、今回は楽しく、おかしく聞いてもらおうかなと
思っています。還暦を迎え、これからの10年は、
中途半端で終わっている自分のネタをちゃんとこちらの
テリトリーに入れる作業をしていかんといかんかなと思います。
どこでやっても大丈夫なネタを50くらい。
ネタを整理してちゃんとしていかんと。だいへんな作業やと
思いますが、そういうのを心掛けながらやっていこうと思っています。
「桂塩鯛独演会」
10/10(土) 開演=14:00
料金=S4200 A3700(全指)
開場=サンケイホールブリーゼ(地下鉄「西梅田」)
出演=塩鯛「妻の旅行(桂三枝・作)」「三十石夢の通い路」
「一人酒盛」/内海英華(女道楽)/小鯛「いらち俥」
問い合わせ=サンケイホールブリーゼ:06-6341-8888