2015年9月17日木曜日

「桂ざこば独演会」(9月20日)

人間国宝の桂米朝が今年319日に亡くなったことを受け、
サンケイホールブリーゼで毎年開かれている夏の「米朝一門会」が、
今年は「追善公演」として81617日に開催された。
今回は2日間にわたって3公演が開かれ、直弟子たちのほぼ全員が
交代で出演したほか、回替りでゲストが登場し、
在りし日の米朝を偲んだ。
16日の昼公演の終演後に、米朝一門を率いる桂ざこばが
師匠のこと、そして920日に同じ会場で開かれる
恒例の自身の独演会のことを語った。




 この日は師匠・米朝が亡くなってから5か月を迎えた。

 ―落ち着いた、思いますわ。でも、実は今日もやばかった。
 (舞台で)泣きそうやったんですわ。ぐっとこらえましたね。
  なんでこない泣くねやろなー。わからん…。

今回はベテラン勢が米朝に習ったネタで前座をつとめる趣向が
行われ、ざこばは昼公演のトップで登場し、「子ほめ」を披露した。

 ―「子ほめ」はできるだけ、(米朝師匠に)なろた原本に
  近いもんを発表しようと思たんやけど、ちょっと抜けてた。
  今日はうけても、うけんでも入れようと。「子ほめ」って
  こんなとこあったんやというくらいでやったつもりなんやけど。
  そやけど、楽しい。何か知らんけど楽しい。
  昨日もネタ下ろししたけど、なんか楽しかった。
  「なぞりなや」っていうのは枝雀兄ちゃんから言われたんでね。
  「なぞりなや。なぞったらあかんで。いつも緊張をもってその日、
  その日の空気でやりや」って枝雀兄ちゃんからだいぶ言われたんで、
 (今日のお客さんは)ひやひやしていただいたんと
  違うかなと思ってます。




  この日に演じた「子ほめ」について師匠との思い出の会話がある。

  ―「子ほめ」ってすごいでんな。ほとんど(の落語家が)
   「子ほめ」やりまっしゃろ? 揺らぎがないです。
   (師匠も)「そうやな、『子ほめ』えらいな」と言うたこと
   ありました。どこへ持っていっても、初めて聞くお客さんでも
   一番間違いないですよね。
   師匠が「『子ほめ』ちゅうのはすごいネタやぞ、これひとつ
   覚えたらいろんなネタに応用が利く」って。僕、人より覚えが
   悪いんで、案外忘れてますけど、なんかのきっかけで師匠が
   こんなこと言わはったなとか、こんなこと聞いた時、
   こう返してきはったなというのは思い出します。

  ここ数年はネタ下ろしにも意欲的に取り組んでいる。

  ―この間、初めて「貧乏神」をネタ下ろししました。
   それ終わったら、また何かやってみたいなって。
   下ろす前はいつも怖いんやけど、いっぺん下ろしてしまうと、
   あーやってよかったと。それが一番嬉しいですね。
   そやから70歳くらいまで年に1本か2本はネタ下ろししていこうと。
   できるだけ大阪であまりやってへんようなネタを
   やりたいなと思ってます。前に、「蜆売り」をやった後、
   「あの『蜆売り』さしてもろてよろしいやろか」と言われたら、
   めちゃくちゃ嬉しくてね。
   「やりたい」言うてくれるのがごっつ嬉しい。
   それが今、楽しみかな。

 今回の独演会では最近よく手掛けている「笠碁」と
 大ネタの「らくだ」の2席をかける。
 「笠碁」は五代目柳家小さんの名演で知られる、碁仲間の
 男同志の友情を描いた物語で、アドリブも加えたざこば流に
 仕上げている。

  ―(独演会では)3席ほどみんなやってはるんやけど、
   「らくだ」が長いんで。2席分はないけど40分やそこらは
   あると思います。「笠碁」は今やってて楽しいんで、
   「笠碁」と「らくだ」ということで。
   「笠碁」はええネタですね。師匠としゃべって、
   「ネタがいろいろ教えてくれるんですわ」って言ったら、
   「そうやで、ネタが教えてくれよんねん。不思議なもんやな。
   ネタとお客さんが教えてくれるんや」と。
   「成長させてくれるんや」というようなことを、
   よう言うてはりましたよね。





  「桂ざこば独演会」
   9/20() 開演=14:00
  料金=S4500  A4000(全指)
  会場=サンケイホールブリーゼ(地下鉄「西梅田」)
  出演=ざこば「らくだ」「笠碁」/米紫「宗論」/
     ザ・ラッキー(太神楽)/優々「田楽喰い」
  問い合わせ=サンケイホールブリーゼ:0663418888