2024年4月13日土曜日

「染二・染吉二人会」(4/14)

今年9月に芸歴40年を迎える林家染二と弟弟子で芸歴13年の林家染吉が初めて天満天神繁昌亭で二人会を開く。「染吉」は染二の前名で、新旧の「染吉」がそれぞれ長講を演じて持ち味と実力を見せる。

染吉が落語家になったきっかけは染二だった。名古屋の南山大学の落研に入ってから落語を始めた染吉は、お寺で開かれていた月例の落語会で見た師匠・四代目林家染丸の落語に魅了され、学園祭に招いた。「学祭の落語会で前座に出たんですけど、ぜんぜんうけなかった。染二兄さんだけ笑ってくれて嬉しかったです」と染吉。続いて出た染二はパワフルな「手水廻し」で爆笑を取り、師匠の染丸は「寝床」を粋に演じて大爆笑だった。「すごいなと思いました。その時に、染二兄さんからプロにと声をかけられたんです」。そのあと、NHKの「笑いがいちばん」の番組で、後に兄弟子になる林家花丸の「時うどん」を見た。プロの落語家になりたいと思っていた染吉は「染二兄さんを育てたのも、花丸兄さんを育てたのも染丸師匠」と思い、入門を決意した。

芸名は染二の前名の「染吉」。兄弟子の名を継ぐのは珍しい。染二は「師匠から『染吉』の名をつけるけど、いいかと聞かれました。うちはアットホームだったんで、彼も食らいついていけたのではないでしょうか。師匠は弟子の個性を見ながら教えていました。彼はかなりきっちり教えてもらったんじゃないでしょうか」と語る。

 そして今回、染丸一門の筆頭弟子の染二が芸歴で23年後輩の弟弟子との二人会を開催する。「彼は珍しいネタ、大ネタなどを一生懸命にやっています。彼のよさをもっと前へ出すきっかけになれば」という考えに、「林家の後進を育て、鍛えたい」という思いが加わった染二の企画だ。今回、染吉は人間国宝の桂米朝が現代に蘇らせた大ネタの「地獄八景亡者戯」を初演する。染二は「うちの一門でやるのは染丸、染二、染左で、4人目。彼は現代的なセンスもある。自分なりのギャグを入れて50分程度でと言っています」と語り、アドバイスをして支える。

 染二は人情噺の「子別れ」。この噺は「上」「中」「下」の3部構成で、現在は「下」のみが演じられることが多いが、今回は「通し」で口演する。「上」「中」は東京の柳家権太楼から、「下」は師匠の染丸から習った東西融合の形に、染二ならではの細かい演出を加えたオリジナル版で臨む。「コロナ禍を経て、初めての通し口演です。家族の背景をていねいに描いていくと、家族が戻るところがより際立っていくのではないかと思います。これからの10年は私も60代。どこまでやれるのか。体調管理も大事です」と気合を入れる。

  一つの会で、兄弟弟子が長講二席を演じる前代未聞のバトルが幕を開ける。世代交代や後進の将来を見据えた今回の企画を「これから年に一度は続けていきたいです」(染二)

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染二・染吉二人会

4/14() 開演=18:00

料金=3000(全指)

◆天満天神繁昌亭

●〈オープニングトーク〉染二&染吉/染吉「地獄八景亡者戯」/

染二「子別れ~上・中・下」(出演順)

問い合わせ=SOMEJI:06-7850-8848