2015年10月8日木曜日

「桂塩鯛独演会」(10月10日)

 桂ざこば門下の桂塩鯛が恒例の大阪・サンケイホール
ブリーゼでの独演会を10月に開催する。
塩鯛のサンケイホールブリーゼでの独演会は前名の
都丸時代を含め、今回で7回目。
今年2月に還暦を迎え、南座からスタートした「還暦記念」の
公演はこの独演会でフィナーレを迎える。

今回、塩鯛が演じるのは桂三枝(現六代文枝)作の
「妻の旅行」と旅の大ネタ「三十石夢の通い路」、
そして「一人酒盛」の三席。桂三枝作の創作落語は「鯛」
「宿題」「読書の時間」に続き、4作目となる。





-「妻の旅行」は10年くらい前に勧められていたんですが、
 定年退職をした男性の噺なので、今回60歳になったということで
 文枝さんにお願いしました。今回のメインと言いますか、
 「三十石」はかなり前からやっている噺です。
 スケッチ落語で自由奔放にしゃべれる。普通は伏見の浜の場面から
 噺を始めることが多いですが、その前の部分の京の町の説明を
 するところからさしていただきます。
 そして、「自分自身の売りって何かいな」となると、
 お酒の噺かなとずっと思っているので、「一人酒盛」を。
 このネタは大きな会場ではあまりやったことがないので、
 ひとつ挑戦してみようかなということで、最後はお酒の噺で
 締めさせていただこうと思います。


 今年の319日に大師匠の桂米朝がこの世を旅立った。
 多くのネタを後世に残し、たくさんの弟子を育てるなど
 その功績は計り知れない。
 塩鯛も米朝からの教えが心に残っている。

-自分が新しいものに目を向けるっていうかね。
 米朝師匠がよくおっしゃってたのは「新落語や」と。
 古典落語で、昔からある落語をこの人がするとなんか
 新しく聞こえる。同じようにしゃべってたって、
 その人の方が新しく聞こえる。古臭く聞こえない。
 そういうことをおっしゃってたのがすごく印象に残っています。
 昔、私が勉強会で「牛ほめ」という噺をやって、
 米朝師匠が横で聞いてはって、教えてもらった通りに
 やったつもりなんですけど、「今日のはなかなか新しかった」と
 言うてくれはったんです。
 「お客さんに伝わるもんや。それこそが古典落語が
 生き残っていく1つの過程にある」と。
 もちろん、噺の中の工夫もいるんですけどね。
 そういう気持ちでまず、落語に取り組むというのと、
 世の中をよく見ないといけないというか、
 「なぞる」というのがよくない。
 教えてもらった通りにしゃべるのが「なぞる」と
 いうことなんですけど。しゃべってる時にお客さんの反応を見て、
 なるほどこんな風にしゃべった方がわかりやすいんやなとか
 そこから、自分が出て、何か新しいものを提供できれば、
 ちょっとしたことで噺が新しくなる。
 我々は、それを工夫しています。大事な作業やと思います。

塩鯛はここ数年、この独演会で人情噺をかけてきたが、
今回の3席は笑いをメインにしたラインアップになっている。

-本来はこちらでしょうと(笑)。またいずれ人情味かかった話を
 すると思いますが、今回は楽しく、おかしく聞いてもらおうかなと
 思っています。還暦を迎え、これからの10年は、
 中途半端で終わっている自分のネタをちゃんとこちらの
 テリトリーに入れる作業をしていかんといかんかなと思います。
 どこでやっても大丈夫なネタを50くらい。
 ネタを整理してちゃんとしていかんと。だいへんな作業やと
 思いますが、そういうのを心掛けながらやっていこうと思っています。





「桂塩鯛独演会」

10/10() 開演=14:00
料金=S4200  A3700(全指)
開場=サンケイホールブリーゼ(地下鉄「西梅田」)
出演=塩鯛「妻の旅行(桂三枝・作)」「三十石夢の通い路」
   「一人酒盛」/内海英華(女道楽)/小鯛「いらち俥」

問い合わせ=サンケイホールブリーゼ:0663418888