毎年恒例の全国独演会ツアーを5月31日にスタートさせた柳家三三。今年のツアーは「笑いあり、涙あり
三三の玉手箱」をサブタイトルに7会場で開催。大阪では6月14日に1日2公演を行う。
三三 昨年はちょうど東京で毎月ネタ下ろしの独演会をやってたんで、各会場でそのネタ下ろしをした噺をしました。今年はバラエティーに飛んでるっていうか。一席の落語の中もそうだけど、二席ないし三席を並べるとより振り幅が大きいというか。こんなに楽しい、あ、こういう面白さもあるんだって感じていただけるようになったらいいなと思います。
―今年の大阪公演の12時の部は廓噺の「お直し」、16時の部は歌舞伎などでも知られる「髪結新三」を演じられます。
三三 やっぱり一番意識しているのは、その噺が大阪でおそらくあまり聞く機会がないだろうということ。今はいろんなメディアが発達してるから、全く聞かないわけじゃないけど、この「お直し」と「髪結新三」の2つはどっちかというと東京でもまぁ、まずあんまり生で聞く機会はないし、大阪だとよりそうだろうなと思って。自分が寄席へ通ってた頃もそうですけど、同じ噺を聞くのが楽しいというのはもちろんで、それが落語の基本なんですけど、でもやっぱり好きになってくると、より聞いたことのない噺を生で聞けるっていうのも楽しみの1つだと思うんです。
―今回の二席の噺の魅力を教えてください。
三三 どっちの話も元の印象が渋いというか。「笑いあり、涙あり」って言った割に笑いがねぇじゃねえかよっていうチョイスになってしまったんですけど(笑)。重たくなりがちな話を、いかにそうでなく、楽しく聴いてもらうかっていう。無理な入れ事をしてとかではなくて、自然なやり取りの中でちょっとだけ膨らますと笑いになるよねっていうやり取りがどっちの噺にも結構あるんです。「お直し」は吉原でも底辺の話なんですけど、ただ悲惨なだけではなくて、あ、笑えちゃうんだっていうとこもあって。「髪結新三」は20年以上昔に国立劇場でやってた歌舞伎を見たんですが、落語の中だとほぼ何の役も果たさない男が、やりあってる後ろをちょっとうろたえながらちょこちょこするんですけど、それがすごい面白かった。あ、面白いんだ、この話はって思えたんですよ。そんなに深刻にやんなくても、ちゃんとドラマチックになるんじゃないかなっていうのがあったんで、少し味付けを変えたりとか。人物がおどけて面白いんじゃなくて、純朴に面白いとか。ハラハラドキドキプラス笑いです(笑)。それから、それぞれほかに「マイブーム」の噺をやります。
―三三さんがこれから目指すものは何でしょうか?
三三 うーん、なんでしょうね。特に抱負はなんですけどね…。昔より、よりシンプルに。より多くの人により楽しい思いをしてもらいたいーですかね? ネタおろしとかは僕にとって多分、特別なことではなくて、ある程度ずっとやってくんだろうなという気はします。東京で今年も毎月、続きものの噺をやってるんですけど、それも今年だけ特別っていうんじゃなくて、毎年はやらないんですけど、ちょこちょこと掘り出してやっていくような気はします。まだまだ落語でやってない話もあるんで。
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6/14(土) 「柳家三三独演会」
開演=12:00/16:00
料金=各回4000(全指)
会場=ナレッジシアター
(各線「梅田」,JR「大阪」,グランフロント大阪北館4F)
出演=柳家三三
〈12:00の部〉「お直し」他
〈16:00の部〉「髪結新三」他
TEL キョードーインフォメーション:0570-200-888